紅葉まっさかりの秋の上高地へ、パパと3歳の息子と“のんびり家族旅”。河童橋で「きれいだね」と深呼吸したら、今夜の宿は憧れの〈上高地帝国ホテル〉。木の香りとやさしい灯りに包まれて、がんばるママの心もふっとほぐれていきます。
上高地帝国ホテルってどんなホテル?|“山の静けさ×クラシック”が出迎える場所

上高地帝国ホテルは、国立公園である上高地内にたたずむ梓川と穂高を望む老舗リゾートホテル。
1933年に日本初の本格的山岳リゾートとして開業し、赤い三角屋根と丸太小屋風の外観、吹き抜けロビーの大きなマントルピースが象徴です。
帝国ホテルグループの一軒として上質なおもてなしが根づき、皇太子ご夫妻(当時)と愛子さまがお立ち寄りになった記録もある格式の高さ。営業は例年4月下旬〜11月上旬のシーズン制で、大雪のため冬場は閉山されています。
上高地帝国ホテル
住所:〒390-1516 長野県松本市安曇上高地
上高地帝国ホテルへのアクセス|公共交通ルート(長野県、松本駅基点)
松本から上高地線で島々駅まで約30分。
新島々からは路線バスで「上高地帝国ホテル前」駅まで1時間ちょっと。バスを降りてからホテルまでは徒歩数分です。バスの最終便は15時台までなので、早めの時間帯で計画すると安心です。
上高地線
料金:大人片道(¥710)、小児(¥360)、6歳未満は無料
路線バス
料金:大人片道(¥3,000)、小児(¥1,500)、6歳未満は無料

バスの窓からも山肌がほんのり紅葉しているのが見えました。「もうすぐ上高地だ!」とワクワクしてきます。
自家用車なら|沢渡駐車場からシャトルバスへ

上高地は排気ガスから自然の景観を守るため、一般の自動車の入山が制限されています。シャトルバスなど、許可された自動車しか入れません。
自家用車の場合は沢渡駐車場で駐車し、バスやタクシーに乗り換えて上高地へ向かいます。
客室の選び方|おすすめは“ベランダ付き”
ベランダ付きのお部屋なら、外に出てすぐ自然を満喫できます。人気が高いので予約は早めがおすすめ。
ベランダからの山景色は、滞在そのものがごちそう

山小屋風の客室は木の温もりがいっぱい。子どもと一緒でも安心して過ごせる落ち着いた空間です。
ベランダに出た途端、北アルプスの稜線が視界いっぱいに広がり、思わず深呼吸。朝は霧が溶けていく景色、夕方は紅や金に染まる山肌と、時間ごとに変わる表情に見とれてしまいます。
備え付けの双眼鏡で“プチ野生観察”+コーヒーの至福時間

子どもが起きてくる前にそっとベランダへ。部屋から一歩踏み出すと山の稜線がうっすら染まる朝焼けと冷たい空気を全身で感じられます。手の中にはあつあつのコーヒー。たとえ5分でも、心からリラックスできるひと時です。
族が起きてきたら、お部屋に備え付けの双眼鏡を交代しながら梢の野鳥を探したり、運がよければ斜面のニホンザルに遭遇したりも出来るそう。
ダイニング体験|子連れにも優しい和懐石
今回は1泊だったので、食事はディナーと朝食の2回。どちらも見た目の華やかさも嬉しい和食を頂きました。スタッフさんの気遣いもあり、子どもも一緒でもゆったり楽しめました。
夕食:和食会席

炊き込みごはん・お椀・茶碗蒸しなど、子どもとシェアして頂きました。煮物も脂控えめで幼児にも食べやすい味付けです。
離乳食温め・アレルギー対応もしていただけるので、予約時に伝えておくと安心です。

食後のデザートはロビーラウンジ 「グリンデルワルト」で頂きました。
テーブルには色とりどりの折り紙(カエルや紅葉の葉っぱ)がちょこんと。実はこれ、和食の料理長さんが趣味で折った手作りとのこと。息子は「見て見て!」と夢中で遊び、待ち時間もにこにこ。温かいお茶と甘味、そして折り紙のおかげで、親子そろってほっと一息つけました。

夜のとっておき|ロビーで「マントルピース点火式」
デザートを食べ終わった頃、マントルピース点火式が始まりました。薪がぱちっと鳴り、ゆらぐ炎を眺めているだけで旅の疲れがふわっと溶けます。
マントルピース点火式とは?

ロビー中央の大きな暖炉にスタッフさんがそっと火を灯す、小さな夜のセレモニー。
開催は営業シーズンの一部日程で、目安は4月下旬〜6月中旬と9月中旬〜営業終了(11月上旬〜中旬ごろ)。開始は18時前後から(前後・変更あり)で、予約不要・無料。
点火式の楽しみ方
当日の実施有無・時間はチェックイン時に確認を。私達が行ったときは、チェックインの時に「今日は19時からマントルピースの点火式です」と教えて下さいました。5〜10分前に到着すれば、見やすい位置とベビーカー置き場を確保しやすいです。火を使うので、小さいお子さんは近づきすぎないように充分注意してくださいね。
朝食:和定食でエネルギーチャージ

朝食は和定食。焼きたての鮭、ふるふるのだし巻き、湯気立つ味噌汁に、白ごはん or お粥をチョイス。子どもが大好きな鮭をごはんにまぜて、もりもり食べてくれました。お腹も心も満たされて、「さあ出発!」と朝からご機嫌にスタートできます。
近隣の観光スポット|梓川、河童橋さんぽ
穂高の稜線を眺めながら、梓川の遊歩道をたどって河童橋まで。フラットな遊歩道は、子どもと一緒のお散歩にもちょうどいい距離感です。
河童橋までのモデルコース

行き:ホテル→上高地バスターミナル→梓川遊歩道→河童橋で一休み。
帰り:河童橋→梓川遊歩道→ウエストン碑→田代橋→ホテル。
帰りは河童橋を渡り、川の対岸を歩くと違う景色が楽しめます。
川沿いの遊歩道はベンチがたくさんあるので休憩も取り易いですが、片道30分ほど歩くのでベビーカーは持って行って良かったと思いました。

おむつ替えが出来るトイレはバスターミナルに隣接されている「上高地インフォメーションセンター」と、河童橋近くの「上高地ビジターセンター」に完備されていますよ。
子どもと一緒の”発見散歩”
田代橋の近くで野生のサルに遭遇!とっても可愛いけれど、ここは国立公園。野生動物へのエサやりは法律で禁止されています。写真だけ楽しんで、距離を保ちつつ静かに見守りました。

道端のお花を、「かわいい~」となでなで。

田代橋の近くに立つ「ウエストン碑」は、日本に近代登山を広めた英国人宣教師・ウォルター・ウェストンの功績をたたえる記念碑です。梓川と穂高連峰を背景にしたウェストン園地にあり、散歩の途中の記念撮影スポットとしても人気です。
河童橋グルメ

河童橋のたもと、五千尺ホテル側にある売店でひと休み。パパと私は「松本ブルワリー」の樽生クラフトビール(¥900税込)を、子どもは地元の牛乳で乾杯しました。ベンチに腰かけて、穂高連峰を眺めながら飲む一杯は、歩いた後のごほうびそのもの。
小腹も空いていたので、対岸の「カフェ小梨」名物の「上高地コロッケ(¥450税込)」を。大きめサイズでしたが、子どもは丸ごと一個をペロっと食べていました。

五千尺ホテル上高地
住所:〒390-1516 長野県松本市安曇上高地4468
営業期間:4月下旬~11月上旬
営業時間(売店):8:00~17:00
カフェ小梨(上高地ホテル白樺荘内)
住所:〒390-1516 長野県松本市安曇上高地
営業期間:4月下旬~11月上旬
営業時間(売店):9:00 ~ 15:00(時間が変更となる場合あり)
公式URL:https://www.shirakabaso.com/facilities/konashi/
深呼吸するたびに心が軽くなる上高地
深呼吸するたびに心が軽くなる上高地。
私たちが訪れた10月は、お昼でも10度以下と肌寒く、厚手の上着が欠かせませんでした。山道もベビーカーで移動できるので、小さな子どもと一緒でも安心。滞在先に選んだ上高地帝国ホテルは、壮大な自然に包まれながらもホスピタリティにあふれ、心からくつろげる空間でした。子連れママにうれしい工夫も随所に感じられ、「また来たい」と思えるホテルです。
次はぜひ、あなたも体験してみてください。